仏教入門 おしえて千葉先生 対談 第2回

本願寺史研究の第一人者に聞く   親鸞聖人の長生きの秘訣!

千葉乗隆 「イラスト提供」:竹林地 俊人さん 安芸教区機関誌「見真」2007/04号
 親鸞聖人は800年も の昔に90歳まで長生きさ れました。長寿の秘訣は 何ですか?
 そうですね、 心と肉体の問題は無関係 にありえないわけです。 くよくよ悩んでばかりい ると、心だけでなく体の 調子も崩してしまいま す。心静かに平穏でいる と、おのずから体調も良 く、長生きできると思う のです。


 病は気からってい いますもんね。
 そうですね、 親鸞聖人は「自然法爾」 ということをいわれます。 分かり易くあえて簡単に 解釈しますと、自然にう ちまかせ、阿弥陀さまの お心のまま、あるがまま を受け入れてお任せする 生き方です。たおやかな、 無理をしない生活、これ が長寿の秘訣だと思いま す。また幸いに深刻な病 いに罹られなかったこと もあるとは思いますが。


 あるがままを受け 入れるのですね。
 ここで問題に なるのは「死に様」です。 聖人は88歳の時のお手紙 に、2年にわたる大飢饉 で多くの人が亡くなった ことを、痛ましいことで ある、と取り上げられて います。人間は縁によっ てどのような死に様をす るか分からないのです。

しかし、真宗は「平生業 成」ですから、日頃、元 気な時から阿弥陀さまに 救われていく身だという 安心と確信をもっておら れる方は、死に様や寿命 の長い短いではなくて、 たとえ飢饉でひもじい思 いで力尽きても、病気で もがき苦しんで臨終にお 念仏を称えられずに死ん だとしても、お浄土参り をさせていただくことは 間違いないと教えてくだ さっています。


 仏さまのお救いを 日頃からシッカリと聞い ておくことが大切なんで すね。ところで先生にも 自然法爾″なところは あるんですか?
 僕は最近、パ ワフルじゃなくなりまし てね。3つも病気をもっ ていて、今もペースメー カーで心臓を動かしても らっています。心静かに 念仏しながら往生させて いただけない、痛い痛い と言って死ぬかもしれま せん。体がしんどい時に は「あーこれでもう死ぬ んか」「死んだら今やり かけの仕事は一体どうな るんか」なんて考えたり もします。まだ迷いに迷 うている凡夫ですわ。親 鸞聖人の時代ならとっく に死んでいますのに。


 そうでしたか。
 ですから、も う「自然法爾」でいくしかな いわけです。できること は務めますが、無理はで きません。いくらジタバ タしても、阿弥陀さまに 必ず救われていくこの身 であると信じて、すべて をお任せするより他にしょ うがない。苦しい現実ば かりではありますが、そ の絶望を受け入れた先に も、必ずお浄土参りさせ ていただける、やすらぎ の世界はあるのです。
 私はイ ヤなことがあ ると憂うつで 仕方ありませ んが、あるが ままを受け入 れるたおやか な生き方が大 切ですね。目 からウロコが 落ちた気分で す。


  • お話し」 千葉 乗隆: 本願寺史料研究所所長 龍谷大学名誉教授

  • 聞き手」 明田 周士:安芸教区機関誌『見真』編集部