仏教入門 おしえて千葉先生 対談 第5回

本願寺史研究の第一人者に聞く   親鸞聖人の選択!!

千葉乗隆 「イラスト提供」:竹林地 俊人さん 安芸教区機関誌「見真」2007/08号
 僕、あれこれ悩む ことに疲れました。仕事 や恋愛、人間関係‥‥。 深く考えず感じるままに 行動できれば、もっと楽 に過ごせると思うんです が、何かイイ方法はない でしょゝつか?
 そうですね。 確かに、悩んでばかりじや 大変ですが、ときには、 納得できるまで考えてみ ることも大切ですよ。

 そう言われると、 ますます悩んでしまいま す。僕は、早く、楽にな りたいんです。
 あんまりあせ らないで、一緒に考えて みましょう。親鸞聖人は 29歳で、20年間も修行し てきた比叡山を下りられ ました。とても勇気のい る決断なのですが、聖人 は、20年間悩み抜き、考 え抜いて、心から納得で きる道を歩まれました。

 でも、僕は自分が 信じる道を進みたいと思 っても、勘違いして、ウ ソの道でもホントの道だ と思い込んで突っ走って しまいそうです。ここに は、大切なポイントがあ るのでしょうか?
 聖人は、ご自 身の判断だけで生きる道 を選んだのではありませ ん。比叡山で培われた、 「修行」と「学問」した キャリアがあるわけです。 ポイントは、むやみやた らに修行したのではなく、 正邪をセレクト(選択) した実績です。20年間、 できるだけ「正」に近づ こうと修行してきた上で、 その考え方こそが誤りだっ たと気付かれた。「正」 を求めれば求めるほど、 ご自身の「邪(よこしま)」 な姿が見えてきたのです。

 20年間悩み考えて、 これまでの自分は間違い だとおっしゃるのですか? でも先生、正邪をセレク トって、ホントかウソか を見極めるつてことです よね。「正」に近づくこと が誤りなんて、聖人には、 何か判断の基準があった んですか?
 きっかけは、 やっぱり、法然さまとの 出会いでしょう。聖人は 比叡山のころから、法然 さまが説く念仏の教えを ご存知でした。聖人の先 輩にも法然さまに帰依す る者があったので、予備 知識は充分持っておられ たわけです。やがて下山 の決意をされますが、そ の後、教えを聞き納得す るまで、法然さまのもと に100日間も通い続けたと いいます。

 ここで初めて、法然 さまの教えが心から納得 できたということでしょ うか? まさに、20年間の 葛藤があってこその転換 ですね。
 そうですね。 「雑行を棄てて本願に帰 す」という聖人の一言は、 20年間を抜きには語れま せん。そしてここには、 法然さまに出会えた、納 得できる道に出会えたと いう、聖人の力強さが感 じられます。

 先生、冒頭にもあっ た「心から納得できる道」 とは、どんな道ですか?
 それは、自分 が修行して悟りを開こう なんて思っていたのが、 大間違いだったというこ と。自分の力なんてとん でもない、仏さまにお任 せする以外に 自分が進むべ き道がない、 ということを 聞き、心から うなずかれた のです。  どうですか? 明田くんも、 比叡山で20年・・・・。
 な、長い


  • お話し」 千葉 乗隆: 本願寺史料研究所所長 龍谷大学名誉教授

  • 聞き手」 明田 周士:安芸教区機関誌『見真』編集部